ある年の妹のお誕生日、母娘合作のワンピースをプレゼントしたときに、
それとは別に私からパスポートケースを贈ったことがあります。
なぜ、パスポートケースかと言うと…。
うちの妹は小さい頃、どこかにお出かけするときは、もう目的地のことで頭がいっぱい。
途中の道でも「おねえちゃん、着いたらあれしようね、これしようね」と
こころはもう飛んで行ってしまっているので、
道順は覚えていないなんて当たり前、バスの乗車券をなくしてしまうことも。
大人になって、どこに行くにも一緒なんて難しくなってしまったけれど、
今はどうやって目的地にたどり着いているんだろう。
心配になってしまった私は、旅にはこれさえあればOK!というくらいの
便利な「妹仕様」のケースを作ることに決めたんです。
私自身が持っている市販のパスポートケースも便利なのですが、
妹の使いやすいようにプラスアルファで機能(?)を付ける事に。
だから中身のデザインはすぐに決まったのですが、
表はさてどうしよう、とこまってしまいました。
旅の途中ずっと持っているものだから、見るたび思い出して懐かしいものがいい。
そう思った私は、ヒントを探して小さいころのアルバムを引っ張り出しました。
そうしたら、気づきました。写真の中のうちの家具、特に椅子が変わったものが多い…。
座ると音が鳴る、おそろいの子供用の椅子はなぜかカエルのお顔の形
(そして色もきつめの緑とピンク…)。
お父さん手作りのベビーチェアは、実用性重視の不思議な形。
肘掛けが、まるで腕を差し出しているロボットみたい!
そして、私たち姉妹がだいすきだった、「アップルチェア」。
ダイニングテーブル用に家族分あった赤いパイプ椅子なのですが、
白い座面に赤くてぴかぴかのりんごの絵が描かれていて
背当てにはごていねいに「APPLE」の文字が。
色こそ赤でかわいいけれど、会議用のパイプ椅子と同じ作り。なんだか時代を感じます。
でも、私たちはこの椅子がお気に入りでした。
この椅子たちを全面に刺せば、いつでもどこでも、見るたびに笑顔になるはず。
そう思って即決の私。でも、すぐに後悔しました…。
もともと個性的な形の椅子たちは、絵にして刺繍すると
椅子なのか何なのか、もうわからない。
なかなか難しくて、何度も刺しなおす日々が続きました。
あらためて見ると、不思議なデザイン!へんてこな椅子がちりばめられてる!
でもこれ、作った私でも笑ってしまうくらい懐かしいノスタルジーな椅子たちなんです。
受け取った妹は、おおおー!と大きな目をもっと大きくして大爆笑(…内輪ウケです)。
とっても喜んでくれました。
その後もずっと使っていてくれるみたいで、ちょっと嬉しいあねです。
↑噂の。小さくて文字は無理…。 ↑顔つきがレトロ。 ↑ゆりかごタイプの赤ちゃん用。
開くと、こんな感じです。
パスポートや旅程表は、閉じたままでも
取り出せるよう 縦のポケットに。
空港でケースとお財布を両方持つのは面倒。
小額ならこれに入れておける様、
左側のピンクのポケットは、
ファスナー付きのコイン用。
右側にはお札用のポケット。
どちらも2段になっているのは、
日本のお金と現地のお金を
分けて入れられるように。
ハート型のポケットは、 電車の切符のような小さなものを挟めるように。
宿泊先のホテルのカードなんかを 入れても、便利…?
両端も、ポケットになっています。
空港で何度も出し入れするパスポートは、
ファスナー付きで安全だしここでもいいかも。
ホックの位置には、目印のりんご。
ここがホックですよ。
見えないけれど、閉じた右側の
背表紙(?)には縦型のポケット2段。
急いでいるときも、バスの時刻表なんかが
さっと取り出せるように
ポケットの色は布を変えてあります。
縁にはレースを縫い付けました。
例の…。これでも何度もやり直した結果です。
でも結構、本物にそっくりなんです。
いつも、無事に目的地にたどり着いて、ちゃんと帰ってこれますように。
そんな願いを込めた、心配性のおねえちゃんからのプレゼントです。