心配性の姉

sawako

2009年09月04日 02:04

ある年の妹のお誕生日、母娘合作のワンピースをプレゼントしたときに、
それとは別に私からパスポートケースを贈ったことがあります。
なぜ、パスポートケースかと言うと…。


うちの妹は小さい頃、どこかにお出かけするときは、もう目的地のことで頭がいっぱい。
途中の道でも「おねえちゃん、着いたらあれしようね、これしようね」と
こころはもう飛んで行ってしまっているので、
道順は覚えていないなんて当たり前、バスの乗車券をなくしてしまうことも。
大人になって、どこに行くにも一緒なんて難しくなってしまったけれど、
今はどうやって目的地にたどり着いているんだろう。
心配になってしまった私は、旅にはこれさえあればOK!というくらいの
便利な「妹仕様」のケースを作ることに決めたんです。


私自身が持っている市販のパスポートケースも便利なのですが、
妹の使いやすいようにプラスアルファで機能(?)を付ける事に。
だから中身のデザインはすぐに決まったのですが、
表はさてどうしよう、とこまってしまいました。


旅の途中ずっと持っているものだから、見るたび思い出して懐かしいものがいい。
そう思った私は、ヒントを探して小さいころのアルバムを引っ張り出しました。
そうしたら、気づきました。写真の中のうちの家具、特に椅子が変わったものが多い…。


座ると音が鳴る、おそろいの子供用の椅子はなぜかカエルのお顔の形
(そして色もきつめの緑とピンク…)。
お父さん手作りのベビーチェアは、実用性重視の不思議な形。
肘掛けが、まるで腕を差し出しているロボットみたい!


そして、私たち姉妹がだいすきだった、「アップルチェア」。
ダイニングテーブル用に家族分あった赤いパイプ椅子なのですが、
白い座面に赤くてぴかぴかのりんごの絵が描かれていて
背当てにはごていねいに「APPLE」の文字が。
色こそ赤でかわいいけれど、会議用のパイプ椅子と同じ作り。なんだか時代を感じます。
でも、私たちはこの椅子がお気に入りでした。


この椅子たちを全面に刺せば、いつでもどこでも、見るたびに笑顔になるはず。
そう思って即決の私。でも、すぐに後悔しました…。

もともと個性的な形の椅子たちは、絵にして刺繍すると
椅子なのか何なのか、もうわからない。
なかなか難しくて、何度も刺しなおす日々が続きました。




あらためて見ると、不思議なデザイン!へんてこな椅子がちりばめられてる!
でもこれ、作った私でも笑ってしまうくらい懐かしいノスタルジーな椅子たちなんです。
受け取った妹は、おおおー!と大きな目をもっと大きくして大爆笑(…内輪ウケです)。
とっても喜んでくれました。
その後もずっと使っていてくれるみたいで、ちょっと嬉しいあねです。


      

↑噂の。小さくて文字は無理…。    ↑顔つきがレトロ。     ↑ゆりかごタイプの赤ちゃん用。

 
 開くと、こんな感じです。

 パスポートや旅程表は、閉じたままでも
 取り出せるよう 縦のポケットに。

 空港でケースとお財布を両方持つのは面倒。
 小額ならこれに入れておける様、
 左側のピンクのポケットは、
 ファスナー付きのコイン用。
 右側にはお札用のポケット。
 どちらも2段になっているのは、
 日本のお金と現地のお金を
 分けて入れられるように。


 ハート型のポケットは、 電車の切符のような小さなものを挟めるように。
 宿泊先のホテルのカードなんかを 入れても、便利…?



両端も、ポケットになっています。 
空港で何度も出し入れするパスポートは、
ファスナー付きで安全だしここでもいいかも。

ホックの位置には、目印のりんご。
ここがホックですよ。

見えないけれど、閉じた右側の
背表紙(?)には縦型のポケット2段。
急いでいるときも、バスの時刻表なんかが
さっと取り出せるように
ポケットの色は布を変えてあります。
縁にはレースを縫い付けました。



       

   
 

例の…。これでも何度もやり直した結果です。
でも結構、本物にそっくりなんです。
いつも、無事に目的地にたどり着いて、ちゃんと帰ってこれますように。
そんな願いを込めた、心配性のおねえちゃんからのプレゼントです。

関連記事